伊豆新聞が継続的に、小学校での給食後の拭き取り活動の取材をしてくださっています。
その後の活動の様子を取材していただきました。
以下、全文です。
伊豆新聞/2021年3月5日掲載
町内全校で実施検討
南中小、小さな環境保護活動
給食後の食器拭き取り、町が注目
「南伊豆町から伊豆半島、県内へとどんどん広めていきたい」。そんな夢を持って南伊豆町立南中小5年生が始めた身近な環境保護活動が広がりを見せている。町教育委員会、町生活環境課は美しい川と海を守る取り組みに着目し、環境許育の一環として町内全校での実施を検討している
児童たちは給食を食べ終わると、洗剤を薄めたスプレーを食器に吹きかけ、キッチンペーパーで汚れが残らないように拭き取る。食器を洗うのに使用する洗剤や油など下水道に流す量を減らし、町の自然を守る活動だ。
昨年11月、総合学習の一環で町内で自然を生かした体験プログラムを手掛けるエコサーファー代表の堀直也さんから児童にできる環境保護活動として提案を受けたことから始まった。5年生は集会などでこの活動を紹介し、他学年への広めた。
これを知った町教委と同課は児童たちの活動を視察した。同課の高野克己課長によると2021年度に、町教委と連携した環境教育に散り組んでいくことを計画していたという。そんな矢先に始まった児童たちの自主的な活動に「環境教育の第一歩となる活動であり、さまざまな形に発展していきたい」と話す。
目に見える効果はまだないが、同課の外岡三郎主事は「今はまだ小規模な取り組み。町内全校、一般家庭にまで普及していけば効果を生み出していくだろう」と期待する。高野課長は「どんな活動でも第一歩が大切。それを子どもたちが自ら考え、踏み出したという点に大きな価値がある」と評価する。
一方で、課題もある。使用するキッチンペーパーが新たなゴミになる点だ。児童たちは代わりに新聞紙や古雑誌を使うなどの案を考えたが、インクが食器に付くなどの問題があるため、今はキッチンペーパーを小さくちぎって使うことで対応している。学級委員の**君は「紙を使わないことや使った紙をリサイクルできる方法を考えていきたい」と話す。その上で「町内や伊豆半島、県内など、できるろころまで活動を広めていくことで、豊かな自然を守っていくことにつなげていきたい」と語った。
町は21年度にさまざまな環境教育に発展させる考えだが、子どもたちの主体的な活動を尊重し、「気付き」を促すようなサポートをしていく予定だという。佐野薫教育長は「子どもたちが自ら考えて行動する『子ども目線の環境教育』。町の自然を大切に思う子どもたちが主体的に取り組む特徴ある活動であり、町内、全校に広げていきたい。町がサポートすることで活動の発展にもつなげたい」と語る。
同町では南伊豆東中が町の一大イベント「みなみの桜の葉の花まつり」の前に自主的に行っていた桜並木の清掃が、町内全小中学校一斉の活動として根付いた。自然を大切に思う児童たちの新たな取り組みがどのように広がっていくのか注目される。